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愛されて35周年


by ckd95950k
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グミ・チョコレート・パイン パイン編(大槻ケンヂ著)

グミ編、チョコ編、に続く完結編であるパイン編。
主人公である大橋賢三はクラスでは、いてもいなくても誰も気にしないような存在。でも彼自身は 俺はクラスのくだらない連中とは違う と思っている。誰よりもマニアックな映画を見たり本を読んだり、ロックを聴いたりしていつか何かスゴい事をしてやるんだ。と思いながら実際やってるのは異常な自○行為。
こう書くとなんか嫌な奴みたいだけど、読んでみると こいつバカだなあ〜 と思わず笑いがこみあげてくる小説です。

チョコ編までは、賢三が似たような冴えないが同じ志しをもった友人4人でバンドを結成し、初ライブまで決まり、それぞれメンバーがバンドでの居場所を見つける。対して賢三は楽器も出来ない、歌詞も思いつかない、曲も書けないという才能の無さに気付くところで終わります。しかも密かに想っていた娘には振られ、その娘は突然学校を辞め、女優デビューし、絶対に自分には手の届かない存在になってしまうという、最悪の結末。

チョコ編までは10年くらい前に出版されていてこのパイン編が出たのが3年くらい前。絶望的な所で話が途切れているし、続きもなかなか出ないので大ケンもう続き書く気無いのかな〜と思った。
チョコ編からかなり年数も経ち、話のノリも微妙に変わってしまうのでは、とか大ケンのテンション下がってんじゃないかな〜と期待しないで読んだけど

すごーく良かった。感動した。正直ちょっと泣いた。

感動するけど決して重いわけじゃなく、大槻ケンヂらしいのほほんとした語り口で軽く読める、それでいてちゃんと読んだ後には心に何か残る青春小説です。読んで損は無いと思うよ。

グミ・チョコレート・パイン パイン編






こいつバカだな〜ハハハ。でもこいつらと私って一緒じゃん。ハ…ハハ。本当の自分はもっとすごいと思いながら、結局何も出来ずに終わって、そんで自分はやっぱり特別でも何でも無いんだ…
なんて読みながら思ったりしたけど、ちゃんと賢三は自分なりの方法で絶望の壁を壊していきます。そして登場するくだらないクラスメート達もそれぞれ自分なりに自分の壁を壊していきます。
どんなに死にたくなる程落ちこんでも、その現実から逃げたら何にも変わらない。下らない毎日でも一つ一つこなしていくうちにやっぱ生きててよかったと思える事はきっとある。素直にそう思える終わり方だった。
やっぱり読んでよかった。大ケンありがとう。
私の中では大槻ケンヂはミュージシャンじゃなくて小説家になりました。
by ckd95950k | 2005-09-03 20:19 |